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健康豆知識

貧血

 @ふらっとしたり、くらっとしたり、目の前が真っ暗になったりしたら、これは貧血であるA栄養が足りない、あるいは鉄分が足りないと貧血になるB鉄分が足りない貧血は、鉄分の多い食事を取れば治る―などとよく患者さんが言います。

 これらは正しい場合も間違っている場合もあります。@について、ふらっとしたり、くらっとしたりするのは多くの場合貧血ではありません。低血圧などの血圧の異常や目まい発作の場合がほとんどです。事故などの外傷による出血や胃や腸からの急性の出血が原因で起こる貧血があると、目まいやふらつき感などの症状は多いのですが、慢性の貧血の症状としては、ふらつき感や目まいはあまり多くなく、頭痛、動惇(どうき)、息切れ、全身の倦怠感(けんたいかん)などが多いようです。

 Aについては、実際の医療現場ではやはり鉄が足りないために起こる貧血、医学用語で「鉄欠乏性貧血」が最も多いと思います。貧血は病名ではなく、血液の成分の一つである赤血球が少なくなっている状態を表します。貧血があった場合、その原因が何かを追求することが大変重要です。貧血にはいろいろな分類がありますが、白血病などの血液の病気が原因で起こる貧血と、胃や腸などの出血や腎臓が悪くなって起こるものなど血液の病気以外で起こる貧血とに分けられます。貧血の原因になる病気は、栄養分の欠乏だけでなく極めて多様であり、また貧血の原因によって治療法が全く異なります。

 Bについては間違っています。鉄欠乏性貧血と診断された場合、その原因になっている病気をさらに調べることが極めて大事です。女性の場合は子宮筋腫などの婦人科的な病気と、胃や腸などに潰瘍やがんなど出血を起こす病気がないか、男性の場合はやはり胃や腸にがんや潰瘍がないかを調べることが大変重要です。鉄が足りない貧血があるからといって、その原因を調べず安易に鉄剤を飲むことは慎むべきです。ただし、しっかり調べた上で貧血を治すために鉄剤を飲むことは重要です。その場合鉄分の多い食事を取るだけで貧血を治すことはできないということをよく覚えておいてください。

西上尾第二団地診療所 山上敬司


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