トップ > 健康豆知識 > 食中毒

健康豆知識

食中毒

 毎年ニュースで騒がれる食中毒の話です。食中毒が夏から秋に多いのは皆さん知っての通りです。いつも話題は大腸菌ですが、他にも食中毒を引き起こす菌として、サルモネラ、赤痢、腸チフス、コレラ、またウイルスとしてノロウイルスが挙げられます。

 大腸菌は常に大腸内に存在しています。普通はいたずらしません。問題の大腸菌はベロ毒素を持つ菌です。富山の焼肉店の事件は病原性大腸菌O111によるものです。O157がよく聞かれますが、Oとは菌表面にあるO抗原のことで、157は157番目に発見された物をいいます。現在180に分類されています。病名は腸管出血性大腸炎といいます。多い年は年間千人以上、最近は200人前後の人が感染しているようです。歴史的には、1982年にアメリカでハンバーガーによる集団食中毒事件が発生し、O157が原因として見つかったのが最初です。O157の感染原因の食品は、牛肉以外でもチーズ、マヨネーズ、ソーセージなどからの感染の報告もあります。

 食中毒予防のポイントを紹介します。肉、魚、野菜は新鮮な物を買いましょう。冷蔵・冷凍が必要な物はすぐに冷蔵庫、冷凍庫に入れましょう。冷蔵庫は10度以下、冷凍庫はマイナス15度以下が目安です。台所では、まな板と包丁を、肉や魚などの熱処理が必要な物と使い分けましょう。

 菌は75度以上で1分間以上の加熱で死滅します。また手洗い、布巾の管理も必要です。電子レンジでも同じ条件なら菌は死滅します。生ハム、牛乳、ヨーグルトは規格上殺菌されているので安心と考えます。母乳も心配ありません。食器洗浄乾燥機使用時、 乾燥までしていれば安心です。夏場、明らかな感染者や下痢をしている子どもはプールに入れないでください。

 激しい腹痛、血便がある出血性大腸炎にかかると5パーセント強が尿毒症、腎不全になるとされています。治療は菌を殺すのではなく、毒素を中和することが必要ですが、残念ながら開発途中で今は脱水に対する処置などしかありません。

おやまだい医院 鄭圭寿


ページの先頭へ