中耳炎というと、どのような印象をお持ちでしょうか。数でいえば、小児の急性中耳炎、滲出(しんしゅつ)性中耳炎が最多です。しかし、手術を必要とする慢性中耳炎や真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎などもあります。
@急性中耳炎/鼓膜の内側が感染した状態です。風邪から膿性の鼻汁が出る状態になったときに、これが鼻の奥と鼓膜の内側をつなぐ耳管経由で耳に逆流したときに生じます。症状は耳痛、難聴です。治療は、薬の抗生物質が中心となりますが、鼓膜の切開を行うこともあります。
A滲出性中耳炎/急性中耳炎が治りかけたものの、液体が完全に引けきらない状態です。症状は閉塞感と難聴ですが、小児で症状をうまく表現できずに放置されてしまうことがあります。治療は、まずは薬からです。薬が効かないときには小さい換気チューブを入れて空気を通わせます。大人は飛行機に乗ったときに、この状態になることもあります。
B慢性中耳炎/鼓膜に穴が開いた状態で聞こえが悪くなります。この穴をふさぐ手術を行うことで、聴力が改善する可能性があります。
C真珠腫性中耳炎/簡単にいうと、耳あかが鼓膜の奥側にたまって、自然に外側に排泄されない状況です。原則として手術が必要となります。
右記疾患は、専門医の診察がなければ、適切な診断と治療に至りません。症状があるときには早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
(令和2年1月)上尾中央総合病院 畑中章生