子宮がんには子宮の入口部(頸部)にある子宮頸(けい)がん≠ニ、子宮の奧(体部)にある子宮体がん≠ェあり、この二つは全くタイプが異なるがん≠ナす。
子宮体がんは、女性ホルモンの異常が原因で好発年齢40〜60歳で、不正性器出血(特に閉経後の出血)や月経異常などの初期の段階から何らかの症状があります。それに対し子宮頸がんは、性行為によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で引き起こされます。つまり性体験のある女性なら誰でもかかる可能性があります。近年20〜30歳代の若年層に増加傾向があり、妊娠や出産を迎える年代にとって深刻です。子宮頸がんの初期は、子宮体がんと違って自覚症状がないので、検診が大切です。
検診ではHPV感染が長期間続き、子宮頸部の細胞が異形成を示し、がん化するまでの期間が数年〜10数年と長いため、定期的な検診により前がん病変(異形成)や、ごく初期の段階で発見できるため、子宮温存ができ、その後の妊娠や出産が可能です。子宮頸がんの最も有効な検査は、細胞診とHPV検査です。子宮頸部を専用器具で擦り取り、痛みもなくすぐ終わります。そして予防ワクチン(我が国では因果関係が不明ながら、持続的痛みなどを訴える重篤な副反応が報告され、積極的勧奨は行われていません)です。日本の女性は欧米に比べ、がん検診の受診率が低く、特に若い女性(20〜30歳代)の受診率が低いのが現状です。
子宮頸がんは、予防できるがんです。これからは予防ワクチンを投与(約80lの効果)し、検診で前がん病変(異形成)や、ごく初期のがんを発見し、子宮温存する時代です。
(平成28年12月 ひらしま産婦人科 平嶋昇 )