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健康豆知識

熱中症

 数年前から、5〜7月ごろになると熱中症に関する注意が喚起されるようになりました。それは、熱中症による救急搬送患者数や死亡者数が増加しているためです。梅雨明けの蒸し暑さや急激な気温の上昇など、環境条件が一因になっていますが、高齢者、幼児、持病のある人、暑さに順応していない人などもかかりやすいため、注意が必要です。予防するためには、屋外での帽子の着用、屋内でのエアコンの使用、水分摂取、汗をかく習慣などが大切です。人間の体は、暑い環境で運動や作業を始めてから3〜4日経たないと、体温調節がうまくできないため、無理をせず少しずつ順応していくことが重要です。




 熱中症の症状は、高体温、倦怠感(けんたい)、脱力感、大量の発汗、筋肉痛、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、頭痛、めまい、けいれん、意識障害などがあります。対処としては、意識障害があれば救急要請が必要です。意識障害が持続すると死亡リスクが高くなります。涼しい場所に避難し、脱衣と冷却を行い、同時に水分やイオン飲料、塩分を補給します。自力で水分の摂取が不可能な場合や、症状が改善しない場合には、医療機関を受診する必要があります。




 特に高齢者は、暑さや喉の渇きに対する感覚が鈍くなり、体温調節機能である発汗と血液循環が十分に働かなくなり、暑さに対する抵抗力も衰えてきます。そのため、気付かないうちに室内や夜にも発症してしまうリスクが高いのです。喉が渇かなくても水分補給をし、部屋の温度・湿度を小まめに測定するように心掛けましょう。




 毎年のように高齢者が室内で不幸な転帰をたどったニュースが報道されますが、周囲の人が気付き、一声掛けるだけで大切な命が守られます。


 

(平成30年6月)榎本クリニック 榎本信行


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