上尾市医師会からのお知らせ

子宮頸がんワクチン

子宮頸(けい)がんは、年間約1万人が発症し、約3千人弱の女性が死亡しているがんで、年々増加しています。このがんのほとんどは、性交渉によって感染するHPV(human papilloma virus)という発がん性のあるウイルスによって起こります。このため、子宮頸がんは出産年齢の時期に発症することが多く、20代でもかかってしまうがんです。
 しかし、治療の進歩により早期発見すれば治癒する可能性が高く、HPVに対してのワクチン投与と子宮頸がん検診により、今世紀末には根絶できると言われています。子宮頸がん検診の受診率は年々増加していますが、ワクチン定期接種率は以前(2018年)までは1㌫以下と低い水準で、このことが日本での子宮頸がん増加の原因となっていました。
 HPVワクチン接種が進まなかった理由は、2013年に国が積極的にワクチン接種を勧めることを控えたことが原因です。ワクチン接種後におきた頭痛、倦怠感、歩行困難などの多様な症状の原因がワクチンの副反応とされたためでしたが、その後の調査でその証拠は認められませんでした。さらに海外での大規模調査でHPVワクチンの子宮頸がんに対する予防効果が報告されたことにより、国も2022年からワクチン接種を積極的に勧める方針に戻しました。2023年4月から新しいHPVワクチン(9価ワクチン)での定期接種が始まり、子宮頸がんの大部分を予防できるようになりました。また、HPVはのどや陰茎にできるがんの原因となるため、このワクチンの男性への投与(自己負担)も行われています。
 医療先進国の中でHPVワクチン接種率の低い日本だけが子宮頸がんが増加していることから、ワクチン接種を受けることががんの予防として重要であることを理解していただければと思います。HPVワクチンの情報は、市ホームページで確認できます。